Story

この世界は、遠からず滅びるのだそうだ。


ある一定の範囲が前触れもなく荒廃し、判を押したように同じ景色を作り出す。
そこにどんな風景が存在していたかなんて関係ない。建物も植物も自然が作り上げた雄大な景色も生き物も。
例外なんてひとつもありはしない。全てが失われるのだ。
……色彩すらも。
残るのは、さながら白黒テレビか白黒写真のような、モノクロームに染め上げられた景色だけ。
ある時からそんな現象が観測されるようになったが、原因は未だに解明されていない。
……解明される時は、きっと永遠に訪れないのだろう。
何の解決策も打ち出せないまま、あの白と黒の中に消えゆくのみ。
それが、人類に課せられた運命なのだ。


空は厚い雲に覆われ、雪を降らす。
私は行こう。
ここではない何処かへ。
一歩でも遠くへ。あの場所から離れる為に。


全てがモノクロームに呑まれる前に――私の方から、捨ててやるんだ。